検査項目解説

抗GM1IgG抗体検査について

ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome、GBS)は、急速に発症する四肢筋力低下と腱反射消失を主徴とする自己免疫性末梢神経疾患で、ポリオが激減した現在では、急性に四肢筋力低下をきたす神経・筋疾患の中で最も頻度が高く、人口10万人当たり年間1~2人が発症します。1990年代に行われたイギリスの調査では、GBS発症1年後に8%の患者が死亡、9%が遷延化する筋力低下により介助なしでは歩行できず、4割近くの患者で後遺症を認めたと報告されています。GBSの診断は、AsburyとCornblathの診断基準が頻用されており、二肢以上における進行性の脱力と腱反射低下などの臨床症状、発症4週以内に症状がピークとなることや、髄液・神経伝導検査などの結果より総合的に診断されます。しかし、経過を通じて腱反射が保たれることがあり、注意を要します。また、脱力が4週以上経過しても進行する場合は、他の疾患を疑います。

近年、GBSの血清中に各種ガングリオシドと反応する自己抗体が検出されることが明らかにされてきました。特に抗GM1IgG抗体はGBSの約3割に検出され、最もよく検査されています。抗ガングリオシド抗体は、健常者や他の神経疾患で検出されることはまれで、検出されても低力価です。また、発症早期から血清中に検出されるため、病初期におけるGBSの補助診断マーカーとして有用です。臨床性能試験では、GBS群の約5割に抗GM1IgG抗体が検出され、他の神経疾患や健常者ではほとんど検出されませんでした。

したがって、血清中抗GM1IgG抗体の検出はGBSの鑑別診断に有用であり、GBSが疑われた時点で本検査を行うことで早期治療の開始、早期回復、後遺症の軽減が期待できます。

方法

ELISA法を用います。

原理

本法は、2ステップサンドイッチ法を利用した酵素免疫測定法(ELISA、enzyme-linked immunosorbent assay)により、血清中の抗GM1IgG抗体を検出します。

ガングリオシドGM1を固相化させた96穴マイクロプレートウェル(固相)に検体中の抗GM1抗体を反応させ、洗浄後ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒトIgGポリクローナル抗体を加えて反応させると、検体中の抗GM1IgG抗体を介した3者のサンドイッチ複合体が形成されます。未反応のペルオキシダーゼ(POD)標識ウサギ抗ヒトIgGポリクローナル抗体を洗浄により除去後、発色基質を加えて酵素反応を行います。

固相に結合した血清中の抗GM1IgG抗体は、ペルオキシダーゼ(POD)と発色基質との反応に伴う発色量に反映されるため、これを測定することにより抗GM1IgG抗体の検出を行うことができます。

抗GM1IgG抗体検査の原理図

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抗GQ1bIgG抗体検査について

フィシャー症候群(Fisher syndrome、FS)は、眼筋麻痺、運動失調、腱反射の低下ないし消失を主徴とする疾患で、多くは呼吸器系(上気道炎など)あるいは消化器系(胃腸炎)などの先行感染症に引き続いて発祥し、単相性の経過をとり、骨髄検査で蛋白細胞解離がみられるなどの特徴を有することから、ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome、GBS)の亜型と考えられています。現在、FSの標準的診断法はありませんが、眼筋麻痺や運動麻痺などの臨床症状、発症4週間以内に症状がピークとなることや、髄液検査の結果より総合的に診断されます。

FSではGBSと同様にガングリオシドと反応する自己抗体が産生され、7~8割の患者血清中に抗GQ1bIgG抗体が検出されることが報告されています。抗ガングリオシド抗体は、健常者や他の神経疾患で検出されることはまれで、検出されても低価です。抗GQ1bIgG抗体は本症例に特異性が高く、また発症早期から血清中に検出されるため、病初期におけるFSの補助診断マーカーとして有用です。臨床性能試験では、FS群の85%に抗GQ1bIgG抗体が検出されました。

したがって、血清中抗GQ1bIgG抗体の検出はFSの鑑別診断に有用であり、FSが疑われた時点で本検査を行うことで早期治療の開始、早期回復、後遺症の軽減が期待できます。

方法

ELISA法を用います。

原理

本法は、2ステップサンドイッチ法を利用した酵素免疫測定法(ELISA、enzyme-linked immunosorbent assay)により、血清中の抗GQ1bIgG抗体を検出します。

ガングリオシドGQ1bを固相化させた96穴マイクロプレートウェル(固相)に検体中の抗GQ1b抗体を反応させ、洗浄後ペルオキシダーゼ(POD)標識ウサギ抗ヒトIgGポリクローナル抗体を加えて反応させると、検体中の抗GQ1bIgG抗体を介した3者のサンドイッチ複合体が形成されます。未反応のペルオキシダーゼ(POD)標識ウサギ抗ヒトIgGポリクローナル抗体を洗浄により除去後、発色基質を加えて酵素反応を行います。

固相に結合した血清中の抗GQ1bIgG抗体は、ペルオキシダーゼ(POD)と発色基質との反応に伴う発色量に反映されるため、これを測定することにより抗GQ1bIgG抗体の検出を行うことができます。

抗GQ1bIgG抗体検査の原理図

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HMGB1検査について

High mobility group box 1 (HMGB1) は、元来、非ヒストン核蛋白の主要成分であり、転写調節因子として知られている分子量約30kDaのタンパク質です。近年このHMGB1は、敗血症性ショック時の晩期に発現する炎症性メディエーターとして注目されています。また局所的な疾患では、関節リュウマチや炎症性腸疾患などでもHMGB1濃度が上昇することが報告されています。

本検査では、類似蛋白質であるHMGB2を測り込むことなく、HMGB1のみを測定します。

方法

ELISA法を用います。

原理

本法は、サンドイッチ酵素免疫測定法(ELISA;enzyme-linked immunosorbent assay)によるHMGB1定量測定方法です。抗HMGB1ポリクローナル抗体を結合させた固相ウェルに希釈検体を加え、検体中のHMGB1を抗体と特異的に結合させます。次にペルオキシダーゼ(POD)標識抗体を加えて、抗原抗体複合体を形成させます。この複合体に発色剤を加えて発色させます。発色停止後、450nmにおける吸光度を測定します。

HMGB1検査の原理図

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抗トリコスポロン・アサヒ抗体検査について

トリコスポロン・アサヒ(Trichosporon asahii )は、毛芽胞菌とも呼ばれ、子嚢菌門 小胞子嚢菌類 ピエドライア科に分類される真菌の一種です。

近年、このトリコスポロン・アサヒに対する抗体(抗トリコスポロン・アサヒ抗体)が陽性となる過敏性肺炎(夏季に多いことから、夏型過敏性肺炎と呼ばれる)が報告されています。

本検査では、類似菌種であるクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans )やトリコスポロン・ムコイデス(Trichosporon mucoides )に対する交叉反応を抑え、抗トリコスポロン・アサヒ抗体への特異性を高めています。

方法

Antigen-captured ELISA法を用います。

原理

本法は、Antigen-captured ELISA法(ELISA;enzyme-linked immunosorbent assay)により、血清中の抗トリコスポロン・アサヒ抗体を検出します。

マイクロプレートに抗トリコスポロン・アサヒ-モノクローナル抗体D-8のみを結合させたウェル(対照ウェル)と、D-8を介してトリコスポロン・アサヒ抗原を結合させたウェル(抗原固相化ウェル)、各1ウェルを一組として操作します。

検体中の抗トリコスポロン・アサヒ抗体をトリコスポロン・アサヒ抗原と反応させ、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgGポリクローナル抗体(POD標識抗体)を加えて反応させると、検体中の抗トリコスポロン・アサヒ抗体を介したサンドイッチ複合体が形成されます。未反応のPOD標識抗体を洗浄により除去後、発色基質を加えて酵素反応を行います。

抗原に結合した検体中の抗トリコスポロン・アサヒ抗体は、ペルオキシダーゼと発色基質との反応に伴う発色量に反映されるため、これを測定することにより抗トリコスポロン・アサヒ抗体の検出を行います。

本法では、検体と同時に測定する陽性コントロールを基準に各検体の補正吸光度(Corrected Absorbance Index、CAI)を算出し、CAIより判定を行います。

抗トリコスポロン・アサヒ抗体検査の原理図

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バイオピリン検査について

ビリルビンは活性酸素と直接反応することで抗酸化物として働きます。その酸化代謝物質(バイオピリン)は抗ビリルビンモノクローナル抗体(24G7)を用いて検出することができ、様々な酸化ストレス負荷(外科的ストレス 、敗血症 、冠攣縮誘発試験 、急性心筋梗塞 、心理的ストレス および統合失調症など)による尿中レベルの増加が報告されてきました。24G7 によって得られるバイオピリン値は、酸化ストレスの評価指標として今後の研究成果が注目されています。

方法

ELISA法を用います。

原理

アルカリフォスファターゼ(ALP)を標識した抗ビリルビンモノクローナル抗体(24G7)と検体中のバイオピリンとを反応させます。次に抗原を固相化させたイムノプレートに反応液を移し、過剰の抗体を抗原を介してプレートに結合させます。このイムノプレートを洗浄して、プレートに結合していない抗体を除いた後、ALPの基質(p-nitrophenylphosphate)を加えて発色させます。検体中のバイオピリンに相当する量の抗体がイムノプレートに結合できずに少なくなるため、発色がその分弱くなります。この吸光度の減少からバイオピリン値を求めます。

バイオピリン検査の原理図

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HBs抗原検査について

B型肝炎ウイルスに感染すると、通常血清中にHBs抗原が出現します。
一般的にHBs抗原は発症の2~3週間前に血清中で検出され、特有の症状が現れるとき(黄疸、トランスアミナーゼの上昇)にHBs抗原値はピークになります。そして、引き続いて徐々に抗原が取り除かれていきます。

しかしながら、ごく稀な例において、またはある程度の割合の不顕性のB型肝炎ウイルス感染者において、生涯にわたり何年も抗原が血清中に検出されることがあります。HBs抗原検査は、輸血後のB型肝炎ウイルスの感染率を減少させるために、特に供血者の血液検査として重要です。また、急性、慢性B型肝炎の診断にも用いられます。

いかなる感度の良いHBs抗原スクリーニング法を用いても、HBs抗原陰性検体によるB型肝炎感染の危険性を完全に回避することはできません。

方法

ELISA法を用います。

原理

本法は、2ステップサンドイッチ法を利用した酵素免疫測定法(ELISA、enzyme-linked immunosorbent assay)を原理としてHBs抗原を検出します。検体に含まれるHBs抗原は、マイクロプレートの穴に固相化されている抗HBsヒツジポリクローナル抗体およびビオチン標識抗HBsマウスモノクローナル抗体と結合します。

未反応物質が除去された後、ペルオキシダーゼ(POD)標識ストレプトアビジンとビオチンが反応します。
未反応物質を除去した後、ビオチンと反応したペルオキシダーゼ(POD)に発色剤を加え反応後、反応を停止させ、450nmにおける吸光度を測定します。

HBs抗原検査の原理図

 

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